回収砂の冷却挙動

高温鋳物砂の冷却挙動に関する研究

鋳造工場における生型砂はシステムサンドと呼ばれ、循環されながら繰り返し使用されていますが、品質の良い鋳物を作るには均一で適度な密度を有した鋳型を造形しなければなりません。

近年、生産効率上昇やシステムの高速化などによって回収砂の温度が100℃を超えるまで高くなっており、従来の砂回収および冷却システムで対応することが難しくなってきています。

本研究では、骨材を90%、粘結材を10%の割合とした生型砂を使用し、100℃超える温度に加熱したあとに散水による冷却を行い、冷却時の挙動として温度と水分率の測定を行います。

また比較検討のため、同時に散水をしない空冷についても調査しています。100℃を超える生型砂に対する新しい冷却システムを構築することを想定し、高温鋳物砂の冷却挙動についての基礎的な調査、そして水冷と空冷に関する理論的モデルを検討することを目的としています。

砂冷却(2) 砂冷却(1)

標準試験片の作成と生型砂の冷却実験の様子

造型シミュレーション

離散要素法(DEM)による造型シミュレーション開発

良好な砂型を作るためには、造型シミュレーションは必要不可欠です。近年、鋳造CAEのベンダーからパッケージソフトも販売されるようになり、造型シミュレーションのニーズは高くなってきています。

そこで、砂造型で重要な砂粒子の粒度分布や粘着力を考慮できる湿潤粉粒体モデルと、3次元離散要素法(Discrete Element Method)の基本アルゴリズムが提案されています。

本研究では、湿潤粉粒体である生型砂をHardcore-Softshellモデルで表現し、スクィーズ造形プロセスを3次元の離散要素法で解きます。実際の生型砂の粒子は小さすぎるため適当な大きさの離散要素にマッピングを行いますが、この際には粒度分布と粘着力を考慮した解析を行い、可視化ソフトウェアParaViewで可視化します。

実験では、砂層の上部よりスクィーズ圧を加えて造型を行い、この時の搗き固めの挙動を追跡しシミュレーション結果と比較検討します。この方法を現在のコンピュータ環境下で再開発してスクィーズ造型シミュレーション行い、これにより、造型時の力学場を明らかにするとともに、造型後の性状を予測することを目的としています。

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スクィーズ造形された試験片とParaViewでの可視化の様子


粉体工学粉体工学用語辞典web版:powderpedia
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