流れ挙動可視化と湯流れ解析

湯流れ挙動可視化

ダイカスト法は良好な鋳肌状態を保ち、寸法精度、生産性に優れた鋳造方法ですが、高圧、高速充填するため圧入時に空気を巻き込んでしまうことがあり、それが欠陥の原因となることがあります。

本研究では、ダイカスト法における空気の巻き込みの発生や流れ挙動を観察するため、アルミニウムの溶湯を動粘性係数が比較的近い水とアクリル板を使用した型による可視化実験を行っています。

使用する水量の変更、射出速度一定や変速での圧入、圧入開始位置などの条件を変更し、空気の巻き込み発生位置の確認や気泡の挙動を追跡、さらには巻き込み量の定量化を試みています。

水可視化(1) 水可視化(2)

水を使用した流れ挙動可視化実験の様子

 

高精度湯流れシミュレーションのための計算条件検討

鋳型充填と凝固挙動を主に解析するシミュレーションソフト群は、鋳造CAEと総称されます。鋳造CAEにおける湯流れシミュレーションは、良品鋳物を得るにあたり欠陥などを防止するうえで有効なツールであり、現在も湯流れや欠陥の予測精度向上が図られています。

本研究では、様々な鋳造法の中でも特にダイカスト法と重力鋳造における充填挙動に着目し、鋳造CAEソフトウェアTopCASTを用いた湯流れシミュレーションを行います。実験結果と解析結果を比較して、より精度の良い湯流れ挙動を得るための計算条件のあり方について検討をしています。

湯流れ

実験結果とポーラスメディア情報を変更したときの充填挙動比較

 

アルミニウム合金の湯流れ直接観察

アルミニウム合金重力鋳造における充填挙動の直接観察(砂型・金型)

鋳造CAEにおける湯流れシミュレーションはほぼ実用化されていますが、空気の巻き込みなどによる欠陥の予測手法はまだ確立されておらず、今なお欠陥予測精度の向上が図られています。

本研究では、湯口形状の異なる6つの鋳造方案を用いた砂型へのアルミニウム合金重力鋳造に加え、金型においても同様の実験を行っています。また、鋳造CAEソフトウェアTopCASTを用い、実験と同条件での湯流れ解析を行います。

得られた実験結果とシミュレーション結果を比較し、鋳造CAEによる湯流れ解析の精度向上のための知見を得ることを目的としています。

重力鋳造

金型へのアルミニウム合金重力鋳造の鋳込み実験の様子

砂型 金型

砂型(左)と金型(右)のアルミニウム合金の充填挙動

 

伝熱凝固挙動に起因する欠陥予測

アルミニウム合金のコニカルモールド鋳造におけるひけ巣の予測

良好な鋳物を得るためには、鋳造CAEを駆使して欠陥を予測し事前に対策を施すことが必要です。本研究では、ジルコン砂で製作されたコニカルモールドへアルミニウム合金を鋳込み、冷却時における温度挙動の測定と、鋳物の外観及び断面を観察して引け巣の実測を行っています。

これと並行し、鋳造CAEソフトウェアTopCASTを用いてシミュレーションを行い、引け巣をはじめとする鋳造欠陥を予測します。また、実験と同じような温度挙動にするために熱伝達係数の検討も行っています。

解析結果を実験結果と比較しながら欠陥予測方法について更なる検討を行い、鋳造CAEの予測精度の向上を目指しています。

コニカルモールド (2) コニカルモールド(1)

コニカルモールドの外観と欠陥測定の様子